プロフィール

井口佳世子(いぐち・かよこ)

1963年武蔵野音楽大学ピアノ科卒業。

結婚後、夫の海外赴任に伴いロスアンジェルス3年間、ロンドンに9年間暮らす。ロンドンに住んだ9年の間、かって王立刺繍学校(Royal School of Needlework)で教鞭をとったミス・ジェーン・スティーブンスに師事し、イギリスの伝統刺しゅうを学ぶ。

その後、夫のパリ勤務の3年間に、フランスのニードルポイントを研究。長年の海外生活を通して得たニードルポイントの独自の絵画的表現、描写法を確かなものにする。

1984年にロンドンより帰国後、日本でのニードルポイント普及活動を始め、「ヴィクトリア会」を発足。以来積極的に制作活動を続けている。

NHK文化センター、NHK学園などの講師を務める。
著書に『ニードルポイント イギリス伝統図柄を刺す』(NHK出版)ほか。
NHK「おしゃれ工房」に出演、同手芸フェスティバルに10年連続参加、
その他百貨店催事に出展。

ニードルポイントとの出会い

学生時代からクロスステッチやフランス刺しゅうを習い、イギリスの手工芸に興味を持つ。ロンドンのテムズ川上流のハンプトン・コート・パレスを訪れた際、ヘンリー8世が住んだチューダー様式の宮殿内の物語を織り込んだ装飾、壁を飾るタペストリーや、それを張った椅子や家具に強く引きつけられ、この出会いがニードルポイントヘと結びついた。

イギリスではキャンバスの上に図案を描き、ウール糸で刺していくニードルポイントを、タペストリーともキャンバスワークとも呼ぶ。

王立刺繍学校で大切に保管されてきた貴重な素晴らしい図柄を使って、日本へ刺繍を紹介することができ、現在も制作を続けられる幸運を深く感謝している。